[第31回]

スイスの直接民主主義:経済学、政治学、憲法学の概観」

報告者  奥田 喜道


▽日時:2000年9月30日(土)14時15分〜17時30分
▽場所:日本女子大学文学部 第一演習室(4階)


はじめに

 さまざまなタイプのレフェレンダム(人民投票、国民投票、国民表決、住民投票)とイニシアティブ(人民発案、国民発案、国民提案、住民提案) (1)が、民主主義的に望ましいものと評価され、現実に制度化されるという傾向が世界的に見られ、政治の実践の上でも民主主義に関する理論の上でも関心が高まっているが、日本においては、特に法律学においては、この制度の妥当性自体を問う状態から抜け出ることができていないと思われる。直接民主主義的制度の妥当性を、それが包含している問題を自覚しながら、明確に示し、現実に制度化した場合の問題へ関心を移させたい、というのが報告者の立場である。そのために比較法の研究手法が有益な視点を提供してくれるだろうと期待してスイスを選んでいる。

 そのスイスでは、オイルショック後、さらに1990年代に入って明確に、政府や経済界の上層部を中心に、現状の直接民主主義的制度を改革しようという意向が表面化し、実際に1990年代後半に行われた連邦憲法の全面改革作業の中で大きな論点として提示された。スイスを10年以上にわたって覆った不景気の原因がスイスの政治的機敏性の欠如にあるのではないか、つまり、直接民主主的制度がスイスの経済に対する阻害要因になっているのではないか、直接民主主的制度を広く採用することによって、他の欧州諸国と歩調を合わせることに支障をきたしており、それがスイスの経済にダメージを与えているのではないかといった懸念が公然と表明されたのである。実際には、今回の連邦憲法全面改正作業においては、議会前手続きにおいても、議会においても、直接民主主義的制度の抜本的改革の方向で議論がまとまらず、憲法改正案として提出されることはなかったが、他の国家・地域と比較して、歴史的にも制度の幅の広さの面でも運用の頻度の点でも圧倒的な実績を積んでいるスイスでの議論は、この制度が持っている現実の問題を明らかにした点で非常に興味深いものを感じる。

 理論状況を見ていくと、こうした批判自体はすでに1960年代から、憲法学と政治学とから、それぞれ相互に影響しあいながら、なされてきていることがわかるのだが、1990年代に入ってそれぞれの関心がずれてきていることがわかる。本報告では、公共選択論を中心とした経済学における議論、政治学においての議論、そして憲法学においての議論を、1980年代以前の議論との対比し、その推移を見ていこうとするものである。この三つの分野での議論を見ていくことによって、直接民主主義に関するより深い理解が得られ、さらにスイス以外の諸国との比較においての有益な観点を獲得することができるだろう。

 具体的には、それぞれの分野がどのような性質を国民の権利 (2)に見出しているのかをまず探り、批判点を拾い、その推移から関心の変化を読み取り、さらに個別の論点の紹介を行い、最後にそれぞれの分野の関心・批判の共通点、相違点、それらの推移の要因について述べる。

1 経済学においての研究 

1−1 国民の権利の性質について

 投票および選挙には、有権者個人の選好(政策選択)貫徹機能、正統化機能、自己実現機能、社会統合機能等々の様々な機能が期待され得る。近年のスイスの公共選択論の議論においては、国民の権利に対して個人の政策に対する選好貫徹の機能が期待されているといえる。それを明確に示しているのが、FeldとKirchgassnerとSavioz (3)である。まずFeldとKirchgassner (4)は、邦レベルの政治体制の違いに注目して、代表民主制と直接民主制とを対置する。つまり、直接民主主義的制度をより多く採用している邦や州 (5)とそうではない邦や州を比較し、効率性の観点から、つまり、分業として代表に政策決定を委ねることと代表を監視する費用との関係から考察して、どちらが優れているのかを評価し(6)、さらにどちらがより個人の選好を貫徹させるのに成功しているかを比較する(7)という視点を提示するのである。さらに、公共部門の効率性、投票者叛乱との関係、個々の国民投票に対する投票者の直接的影響を考察している。また彼らはSaviozを加えた論文 (8)の中で、同様の比較をしながら、さらに細かく分析を行っている。彼らは、直接民主主義的制度組み込んだ制度の方が、明らかに効率の点で優位が認められ、エリートに過度の信頼を置いた上での批判は、エリート自体の利害の隠蔽を見過ごすものであるとする(9)。こうした帰結になるのは、経済的に効率性の高い地域で直接民主制が採用されているからであるという批判に対しては、回帰分析の結果からするといえないとする(10)。


1−2 1990年代に経済学からなされた批判について

 一方で、マクロ経済学者の側からは、1990年代の初頭から、直接民主主義的制度がスイスの経済運営の阻害要因になっているという主張が、強力になされている。その典型例が、BornerとBrunettiとStraubhaarである。彼らは1994年に出版された共著(11)において、スイスは1990年頃から明確に経済状況が思わしくなくなってきている(12)が、1994年現在で事態はますます悪化していると主張する(13)。更に、1992年の欧州経済地域への参加の失敗により、欧州統合へスイスが乗り遅れていることが明確になっているとする(14)。その原因のうち大きなものが任意的レフェレンダムの効果、つまり、現状維持的で改革を先延ばしにする効果であるという(15)。労働市場と教育研究部門を含めた様々な場面で、市場主義・競争主義の徹底と手続の迅速化が求められており、そのために連邦参事会の強化(16)や、直接民主主義的制度の縮減(17)を提唱する。
 彼らは、国家全体の経済的効率性、機敏性を求め、そのために強力かつ市場に干渉しない政府及び政治経済指導層をもとめ、その反面として直接民主制の縮減をもとめているのである。

1-3 直接民主主義的制度に対する擁護と批判

 1990年代の後半は、経済学の中で直接民主主義に対する擁護・支持論と批判・縮小論が拮抗する時期と思われる。その頂点にあった時期に開かれたあるシンポジウムは、スイスで行われた両者の交流であったといえるだろう(18)。ここで両者は、それぞれの見解を繰り返しているわけだが、比較すると、批判する側にはデータの荒さが、つまり、根拠の曖昧さが目立ったが、逆に擁護する側には根拠は具体的であったが、連邦レベルでの比較がなされていないという点が目立った。とはいうものの、そして、批判する側の主張はこのシンポジウム開催前には明確にされていたが、擁護する側は、本格的にはこのシンポジウムの後で明確にしたという点で若干前者に不利な要素があるのであるが、この時期を境に、経済学では批判論よりも擁護論の方が優位に立っているように思われる。


2 政治学においての研究

2-1 国民の権利の性質について

 1998年と1999年にLinderがスイスの政治に関する概説書(19)を書いている。この中でレフェレンダムとイニシアティブの性質が明確にされている。簡単に言ってしまえば、レフェレンダムには、現状維持的で安定的な効果があり、イニシアティブには革新的で少数者の政策選好を世論に訴えかける効果があるとするものである。現在ではどの論者も用いる定式のようなものになっている(20)。彼はより具体的にレフェレンダムには政策選好顕示の明確性、改革に慎重な姿勢、統合作用、政治参加への自覚から経済発展に資する要素があるのでないかとする。イニシアティブには、革新機能、官庁へ直接的間接的影響を与える機能、政治の新傾向を促進する機能、選挙補助的な機能があるとする。

2-2 批判の重点の推移
 他方で、政治学においても、直接民主主義的制度は主として1960年代から批判にさらされ続けてきた。その中心がNeidhard(21)でありGermann(22)なのである。およそ20年ほどの期間をおいた両者の批判をそれぞれ比較していくと、重複しながらもずれが生じていることがわかる。それは、前者が社会的合意の獲得としての国民の権利を問題にしてその妥当性を考察することをその論考の中心においているのに対して、後者はその観点は維持しながらも政治経済の指導層の能力の発揮に対する国民の権利の負の影響を考察し、その欧州統合の場面での作用を論じていることに明確な違いが見て取れるのである。前者においてはまだ任意的レフェレンダムの効果、作用に期待を掛けているかのような姿勢が残っているのであるが、後者はそのような姿勢から決別して、明確にイギリスやドイツのような政治体制への移行を、具体的には二重の多数の緩和、連邦参事会の強化を主張している。

2-3 各国との比較
 政治学においての研究の特色の一つは、他の分野に比べて比較の幅が広いことである。そのことは、例えば、Mockli(23)の研究に目をやるとわかる。彼はスイスの制度を、主にアメリカ合衆国のカリフォルニア州と比較するのであるが、その基礎にはフランス、イタリア、デンマーク、アイルランド、オーストリア、リヒテンシュタイン、オーストラリアの制度についての研究がある。アメリカの各州との比較、イタリアとの比較は、経済学や憲法学でもなされているが、それ以外の国との比較は、あまりなされない。比較の対象の幅の違いは、それぞれの分野の性質に起因しているのだろうか。

2-4 邦レベルの制度に関する研究
 また、政治学の分野の研究は、邦レベルの制度の機能の研究においても他の分野よりも厚いようである。最近では、Trechsel(24)が邦での実践例を詳細に検討している。彼の研究によって、邦ごとの制度の違いが、それぞれの方の実践に大きく影響を与えることがわかる。


3 憲法学においての研究


3-1 国民の権利の性質について
 最後に憲法がどのような主張をしているのかを概観してみることにする。Ehrenzeller(25)が述べているように、スイスの直接民主主義はスイス人にとってもはや政治制度というよりもアイデンティティであって、単純に制度の機能を研究するだけではその本質に迫ることはできない。そうしたある種哲学的な考察においては憲法学は他の分野を大きく引き離している。憲法学においても、国民の権利の性質は、基本的には、政治学、経済学の知見に依拠して主張されているのであるが(26)、上記の観点から、直接民主主義的制度の正統性機能に特に注目していたように思われる。

3-2 憲法学からなされた批判
 以上のような特徴を持つ憲法学であるが、国民の権利に対する批判を強力に進めてきたのは実は政治学よりも早い。その一例がImboden(27)である。バーゼル大学の教授であった彼は1960年代初頭から、スイスの政治が停滞しているとし、政治体制の変革を主張していた。これはスイスの連邦憲法の全面改正の動きに連動していく批判でもある。
 しかし彼の主張は、スイス人の心情を良く把握していたが、実証的な資料に基づいた研究の結果帰結されたものではなかった。後から考えることになってしまうが、時代の閉塞感を国民の権利のマイナス作用(と思われるもの)に結びつけすぎて、他の要因を見落としてしまったのでないだろうか(28)。

3-3 制度史研究
 また、制度史の研究も、他の分野よりも厚いものの一つである。その一例が、あるシンポジウム(29)の成果である。そこからは、スイスの国民の権利の歴史はフランス革命以後と意外に最近のもので、現在の急進民主党の人々の努力で制度が導入されたが、その後彼らは制度の進展を抑えようとするようになったこと、20世紀に入る前後から、カソリック保守派と社会主義者が制度の進展に寄与するようになったこと、フランス革命とアメリカの政治運動が大きくスイスの思想状況に影響を与えていたことなどである。

3-4 社会哲学との関係
 アイデンティティの問題として国民の権利を捉える傾向が憲法学にあると述べたが、その一つの現われが、Tschanenn(30)の研究である。彼は、Habermasの討議理論に基づいて、スイスの政治制度の討議的性格を評価し、直接民主主義に対する批判に対する反批判を行っている。むしろ、討議的性格の長所を考えれば、スイスの国民の権利は拡大させるべきであって、(改革はそれとして必要であるとしても)縮減するということにはならないというのである。

3-5 欧州連合、欧州統合、外交政策と直接民主主義の関係について
 以上のように比較的、思想的・哲学的考察に重点が置かれていた憲法学においての研究であるが、この数年は欧州連合、さらに欧州統合へのスイスの適応の観点から研究に重点が移ってきている。その例がEpiney(31)達の一連の著作である。
 彼らはその著作の中で、スイスが欧州連合に加盟してないとしても、結局の所、様々な点で欧州連合の基準に法制度を合わせざるを得ないことは明白であるとする。更に、そうであるにもかかわらず、その制度設計には、スイスは参加できないのである。

3-6 建設的レフェレンダム
 技術的な問題も憲法学の得意とする所である。その一つの例が、建設的レフェレンダムの導入に関る問題を論じたSagesser(32)の著作である。彼は実際にこの制度を導入しているベルンとニトヴァルデンの例から連邦レベルでこの制度導入した場合、制度の複雑化から混乱が生じるのではないかということを提起している(33)。
おわりに
以上、経済学と政治学、憲法学において直接民主主義に関する議論を雑駁ながら概観してきたわけだが、そこにはスイスの経済状況に連動して議論を進める傾向が見て取れるという共通点がある事が分かる。どの分野でも批判が強く提起されそれが受け容れられていく時期はスイスの経済状況が悪化した時期におおよそ該当している。
 しかし、それぞれの視点の推移は必ずしも共通しているわけではない。経済学は国家の経済状況と制度の関係に絞っているが、政治学は妥協的・多極共存型社会の合意からエリートの機能に関心が移っているし、憲法学も以前は社会的合意を思想的に把握することに力点が置かれていたのだが、最近では欧州統合へ関心が移ってきている(34)。
 この推移は、実証的な研究が進んだ結果、抽象的な議論から制度の実際的機能にそれぞれ注目できるようになったからではないかと思うのだが、どうなのだろうか。


(1) 邦や州といった支分国レベルでの、また、自治体レベルでのレフェレンダムやイニシアティブに対して「州民投票」、「住民投票」といった訳をあてる場合があるが、スイスでは自治体レベルを含めて用語上の区別はあまり見られない(Volksabstimmungで政策投票一般を表わす場合が多い)。中立的な訳語として「人民投票」「人民発案」という訳を当てたいのだが、使用例が見当たらないので本報告では用いない。
(2) スイスでは、広く選挙権、被選挙権、各種の投票権、さらに請願権など政治的権利(Politische Rechte)と呼び、その中で特にレフェレンダムとイニシアティブの権利を「国民の権利」(Volksrechte)という。石橋一紀は「国民の政治的権利」と訳しているが、本報告では「国民の権利」と訳すことにする。
(3) Kirchgassner, Gebhard, Lars P. Feld und Marcel R. Savioz[1999].
 後述するが、彼らが積極的に国民の権利を擁護する前までは、マクロ経済学研究者の批判論が経済学の中では優勢であったように思われる。公共選択論の研究自体は1950年代にアメリカ合衆国で生まれた分野であるが、ドイツ語圏を中心に欧州で広まったのは1980年代以降である。
(4) Feld, Lars P. und Gebhard Kirchgassner[1998].
(5) 使用される資料はスイスだけではなく、アメリカの州を対象とした研究も含まれている。
(6) Feld, Lars P. und Gebhard Kirchgassner[1998], S. 4-5.
(7) Feld, Lars P. und Gebhard Kirchgassner[1998], S. 6, 8.
(8) Kirchgassner, Gebhard, Lars P. Feld und Marcel R. Savioz[1999].この著作において彼らは、アメリカだけではなく、ドイツ(ワイマール期)との比較も行っている。
(9) Kirchgassner, Gebhard, Lars P. Feld und Marcel R. Savioz[1999], S 165-172.但し、配分問題については、直接民主主義的制度は抑制的な効果を持ちやすい点に注意を促している。Feld, Lars P. und Gebhard Kirchgassner[1998], S. 22.
(10) Feld, Lars P. und Gebhard Kirchgassner[1998], S.20.
(11) Borner, Silvio, Aymo Brunetti und Thomas Straubhaar[1994].彼らには、同様の趣旨の著作があるが(Borner, Silvio und Thomas Straubhaar, Schweiz AG: Vom Sonderfall zum Sanierungsfall?, NZZ, Zurich 1990)、今回参照することはできなかった。
(12) 事実スイスは1990年頃から1999年秋頃まで複数の経済指標が1980年代以前に比較して著しく悪化していた。Vgl. CREDIT SUISSE Economic Research, Economic Briefing Nr. 18, August 2000, S.4-20.失業率はそれまで考えられないほどの高率に(1パーセント前後だったものが最高で5パーセント近くに)なった上に、経済成長率も大幅に縮少(1990年から7年間ゼロ成長)していたし、国内総生産に対する累積連邦債の比率も増大した(1990年には30パーセントほどだったものが50パーセント近くになった)。経済的に優位にあることがスイスとスイス人にとってアイデンティティの一つであるために、特に経済界の動揺は大きいものと推測される。
(13) Borner, Silvio, Aymo Brunetti und Thomas Straubhaar[1994], S.16.
(14) Borner, Silvio, Aymo Brunetti und Thomas Straubhaar[1994], S. 44-54.
(15) Borner, Silvio, Aymo Brunetti und Thomas Straubhaar[1994], S. 72-85.
(16) Borner, Silvio, Aymo Brunetti und Thomas Straubhaar[1994], S.111-123.
(17) Borner, Silvio, Aymo Brunetti und Thomas Straubhaar[1994], S. 130.その中には、任意的レフェレンダムの廃止、対象の縮減、必要署名数の増加、議会での特別多数の要件の追加などが含まれている。
(18) 1996年7月11日及び12日にスイスのツーク(Zug)で行われた"Direkte Demokratie in der Schweiz"という会議のことである。政治学者や憲法学者も参加しているが主要な報告者は経済学者である。これほど多くの経済学者が一堂に会して直接民主主義について検討を重ねたのはスイスではおそらく始めてであろう。その成果はBorner, Silvio und Hans Rentsch(Hrsg.)[1997]にまとめられている。
(19) Linder, Wolf[1998],p.84-152, Linder, Wolf[1999a],S.259-294.投票参加率の低下がレフェレンダムの意義を低下させているのではないかという基本的な懸念を彼も表明している。Linder, Wolf[1999a], S 278-286.
(20) これは、それぞれにとって、見方によって利点にもなり、欠点にもなり得る。安定的な効果は行政にとって重要な要素であるが、改革を求められている場合には、それが一部の主張に過ぎなくとも、障害として見なされ勝ちである。革新的要素も、状況の変化に対応するために重要であるが、少数者の意見を過剰に尊重するという不満を招いてしまう。このような両義性を批判者はついてくるように思われる。
(21) Neidhard, Leonhart[1970].
(22) Germann, Raimund E.[1994].
(23) Mockli, Silvano[1994].最近の政治学の研究でも基本的にはカリフォルニア州とイタリアが比較にまず挙げられる。Papadopoulos, Yannis[1998], p.37-81.
(24) Trechsel, Alexander H., Volksabstimmung, in: Kloti, Ulrich und Peter Knoepfel und Hanspeter Kriesi und Wolf Linder und Yannis Papadopoulos(Hrsg.)[1999], Trechsel, Alexander und Uwe Serdult[1999], Trechsel, Alexander[2000].
(25) Ehrenzeller, Bernhard[1999], S. 67.
(26) Rhinow, A. Rene[1984],S.137-158, Delley, Jean-Daniel(Hrsg.)[1999], p.82-91.
(27) Imboden, Max[1964].憲法学者が政治家を兼ねている例がスイスでは何人か見られる。BaumlinやAuber、Ehrenzellerはそれぞれ国民院や全邦院の議員であった。その点で国家の運営に対する自覚が批判的な論調を生む要因の一つになっているものと思われる。
(28) スイスの政治制度はあらゆるもの国民の権利に結びついているため、連邦制も多極共存型政治運営も、議会前手続も、Milizsytemも結局は国民の権利の一断面として取られられてしまう。そのため他の要因といって国民の権利と関係させずに考えるわけには行かないのだが、しかし、比率の問題として考えれば、ある程度は別の考えもできるはずである。
(29) 1995年4月27日‐29日に、ジュネーブでジュネーブ大学法学部とジュネーブ大学直接民主制研究所の主催で行われたシンポジウムのことである。その成果は、Auer, Andreas(Hrsg.)[1996]にまとめられている。
(30) Tschanenn, Pierre[1995].
(31) Epiney, Astrid, Krine Siegwart, Michael Cottier und Nora Refael[1998], Epiney, Astrid und Karine Siegwart(Hrsg.)[1998], Korkemeyer, Stephan[1995].この分野での実務経験が彼らの経験に相当の影響を与えていることが推測される。
(32) Sagesser, Thomas[2000].勿論それ以外の、技術的問題、たとえば、遡及効や、二重の多数、投票事項単一性の原則、外国人の参政権の問題といった問題も憲法学では詳細に論じられている。
(33) Sagesser, Thomas[2000],S.260.
(34) スイスでの議論の推移について、質疑においての指摘を受けた。本報告ではこれ以外の部分についても多くの指摘を受けたし、更に、憲法学の射程について、大統領制などを指す場合の「直接民主主義」の定義の問題について、2000年9月24日のレフェレンダム(エネルギー税、外国人規制、建設的レフェレンダムが問われた)の結果を踏まえて欧州統合への今後のスイスとスイス人の対応、といった問題について質疑があり検討がなされた。

参考文献

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